top of page

荒倉東尾根から仙人ヶ岳 2017年02月22日 晴れのちうす曇り 2名

投稿日 2017年02月24日

仙人ヶ岳から派生する尾根のひとつ、荒倉東尾根(仮称)を登って、荒倉沢を下降する周回ルートを歩いてみました。

 

ここしばらく北風の強い日が続きましたが、この日は小さな高気圧が日本上空を通過するため、つかのまの好天が予報されていました。右肩の調子がよくないスコレー爺 熊谷のYさんをお誘いして出かけました。

20170228_多高山01.jpg
20170222_荒倉仙人ヶ岳01.jpg

荒倉から荒倉東尾根(仮称)で仙人ヶ岳、荒倉沢下降周回ルート

(国土地理院電子国土地図に情報追加)  

 

 

通過時刻

荒倉のお堂前 8:25

P504 9:37

ジャンクション 10:40

仙人ヶ岳山頂 10:56 昼食 11:23

荒倉沢下降点の鞍部 11:47

荒倉沢奥の二俣 12:42

荒倉沢下の二俣(石仏) 13:13

荒倉のお堂前 13:55

 

荒倉と仙人ヶ岳 標高差 約480m

総歩行距離 6.4km

 

荒倉東尾根は仙人ヶ岳の東の肩から派生し、麓の「荒倉」集落に落ちている大きな尾根です。下部はご多分にもれずやや急登の植林帯ですが、その上は明るい自然林で傾斜も緩く、危ないところの無い尾根です。上部はやや尾根が痩せ、露岩が現れますが問題はありません。とは言っても、左右急斜面もありますので滑落には要注意です。

 

尾根の派生点である仙人ヶ岳の東の肩は、岩切、または猪子トンネルからくる一般登山ルート(地図の青線)とのジャンクションです。尾根の標高差(荒倉から仙人ヶ岳山頂)は約480mです。

 

この尾根は、東側の一般ルートのある尾根と、西側の前仙人や荒倉山から鷹ノ巣沢、白葉峠方面への県界尾根の間にあるため、それらの眺めはこの尾根を登ることで得られる特別なものです。とくに荒倉山から荒倉沢に落ちる西側の隣の尾根「荒倉尾根」(仮称)(地図の緑線)は岩尾根で、その姿は印象的です。この岩稜の横からの眺めは、今回の尾根(岩倉東尾根)を登らなければ得られないものです。一般ルートを歩いても、荒倉山自体に登っても、その存在すらわからないでしょう。この登頂意欲をかきたてられる岩尾根については、別途取り上げたいと思っています。

 

関連記事: 登頂意欲をそそられる荒倉尾根

 

車を足利市小俣から猪子峠に向けて県道を走ります。谷合に点在する集落のひとつ荒倉の、荒倉橋の横にあるお堂の前のスペースに車を止めました。ここに目的の尾根が大きく落ちていて、山頂部は見えません。お堂から県道をすこし歩いたところにある踏み跡を強引に登って尾根に取りつきました。その先に階段があるようですが、使えるか確認はしていません。取りつくと、こんなところにという場所に石祠がありました。笹と切り株の急斜面を登り、荒削りの道形が何度か交差して、自然林と植林の境目を登って高度を上げてゆきます。尾根の下部は鹿の糞が多いことから、生息密度が濃いようです。

20170222_荒倉仙人ヶ岳02.jpg

荒倉東尾根に取りつき、笹と切り株の急登

左下方に荒倉の民家

 

 

植林帯が終わると明るい自然林になり、傾斜も緩みます。右下からの踏み跡のようなものを見て、なおも尾根筋を忠実に登ると標高504mの丸いピークです。ここには小さな看板がかけられており、それとわかりますが、図恨点や基準点は見当たりませんでした。

20170222_荒倉仙人ヶ岳03.jpg

P504

木札がかかっている

図恨点や基準点は見当たらなかった

この辺りから上にはテープやヒモの目印がある

 

 

前述のように仙人ヶ岳からほぼ直接派生して、位置的に中央にある尾根ですから、その眺めは抜群です。もっとも興味深いのは下の写真のように、荒倉山から派生し、荒倉沢に落ちる隣の荒倉尾根(仮称)です。

20170222_荒倉仙人ヶ岳04.jpg

荒倉山から派生する興味深い岩尾根 荒倉尾根(仮称)

関連記事: 荒倉から荒倉奥尾根

 

尾根の上部はやや痩せてきて露岩が現れますが、通過が困難な所はありません。右から徐々に近づいてくる一般ルートの尾根の側面を眺めながら高度を稼いでいきます。仙人ヶ岳山頂の緩やかな稜線にも手が届きそうです。

20170222_荒倉仙人ヶ岳05.jpg

尾根の上部は少し痩せてくる

露岩が現れるが問題は無い

 

この尾根最後の登りでひと汗かけばジャンクション(仮称)です。この辺りも古い山火事の被害を受けているようで、木がまばらで、枯れている木も多いようです。しかしジャンクションの近くでは松の若木がたくさん出てきており、この辺りに松の林ができるのを期待できます。振り返ると登ってきた尾根が長く連なっています。

20170222_荒倉仙人ヶ岳06.jpg

ジャンクション付近から登ってきた尾根を眺める

 

ジャンクションに辿りついてホッと一息。ここからは一般道を辿り、赤雪山への分岐を見たら、仙人ヶ岳山頂は目と鼻の先です。風はほとんどなく、野鳥のさえずりを聴きながら歩きます。

20170222_荒倉仙人ヶ岳07.jpg

ジャンクション(仮称) ここが一般道との合流点

「ハイキン」と読める、半分錆びた道標がある

このようなサビ方は半分焼けたことによると思われる

松の若木が頼もしい

 

仙人ヶ岳山頂はめずらしく無人でした。いつものようにこの山頂には穏やかな空気がありました。山頂の脇で昼食をとり、白葉峠、一色方面への県界稜線を荒倉沢の下降点まで辿ります。

20170222_荒倉仙人ヶ岳08.jpg

仙人ヶ岳山頂

いつものようにのんびりした山頂

 

仙人ヶ岳山頂から前仙人方面も昔の山火事跡で、ガレた稜線になっており、急なところもあるので注意が必要です。2,3のピークを登ったり、避けたりしながら越えて行き、黄色い「保安林」の看板を確認したら、最後の小ピークを越えた次の鞍部が荒倉沢の下降点です。目印は何もありません。

20170222_荒倉仙人ヶ岳09.jpg

荒倉沢源頭部の急斜面

電光を描きながら、慎重に下る

 

この鞍部から栃木県側を見下ろすと、ここは傾斜が緩いのがわかります。とはいっても沢の詰めは急ですから電光形に慎重に下ります。古い山火事で焦げた木がまだ立っていますが、その下にはうず高く落ち葉が積り、ときどきズッポリとはまり込んでしまいます。

20170222_荒倉仙人ヶ岳10.jpg

沢の源頭部は水流が無いザレ斜面

降りるに従い両側が迫ってくる

 

 

昔、この鞍部を越えて栃木県側と群馬県の桐生との間に道があったようで、今の国土地理院の地図にはまだ波線が描かれています。桐生側は確認していませんが、すくなくとも栃木県側の道形はまったく期待できません。荒倉沢をかなり下った下流部に石積みや1m幅くらいの道形が切れ切れに残っていますが、通過はかえって危険で、沢床を歩く方が安心です。

20170222_荒倉仙人ヶ岳11.jpg

岩倉沢奥の二俣

振り返って撮影

左から降りてきた

右の沢筋は仙人ヶ岳付近から

左の木の根元に炭焼釜がある

 

 

荒倉沢は本流(左俣)および仙人ヶ岳に源頭をもつ右俣ともに、沢全体で滝らしい滝が無いため、登下降可能です。沢筋には4つほど昔の炭焼き窯が保存よく残っています。荒倉尾根が落ちてくる荒倉沢中流部の二股の大杉の下には石仏が二体ありますので、やはり昔道があったことが忍ばれます。

20170222_荒倉仙人ヶ岳12.jpg

荒倉沢下の二俣にある石仏二体

上は荒倉山から派生する荒倉尾根(仮称)の尾根末端

 

 

荒倉沢は下流部でやや沢筋が広がるものの、全体的には狭く両岸は急峻です。上部には数年前の豪雪で倒れたと思われる古い倒木が折り重なっていますが、通過に問題ありません。

20170222_荒倉仙人ヶ岳13.jpg

下流部は石積みや道形がところどころに現れるが

川床を歩いた方が安全

このように橋は完全に落ちている

 

 

今回の尾根は、一般道がここにあってもいいんじゃないのと思うくらい登りやすい尾根です。登るにつれて見えてくる周りの景観。中でも荒倉尾根の岩稜は息を飲むくらい美しいものです。また荒倉沢は滝が無く登下降可能で利用価値があります。全体で6km強と短いルートですが、ダイナミックな登下降を楽しめるルートです。

20170222_荒倉仙人ヶ岳14.jpg

最後に釣り堀の民家の間を通過して県道に出る

 

 

お風呂はこの山域を登った時にいつも利用する足利市葉鹿の東葉館地蔵の湯にしました。

 

 

 

(仙人ヶ岳は群馬と栃木県にまたがる山で、群馬県側の呼称は「朝日沢山」です。今回は栃木県足利市小俣の荒倉から登ったため、山名を「仙人ヶ岳」とし、「その他の山」で取り上げました。)

 

 

(熊五郎)

コメント(2)

  • 山林火災って知りませんでしたが結構あるのですね。カリフォルニアのように人家に近くないのでさわがれないのかしら? (agewisdom) 2017/2/24(金) 午後 4:05

  • > agewisdomさん 発生当時は騒がれますが、忘れられるのも早いようです。また、一般道を歩いていると気づかないことが多いようですね。この仙人ヶ岳周辺は特に多いようです。(熊五郎) 2017/2/24(金) 午後 5:06

     

bottom of page